
エリシット
Elicit
の使い方・機能・解決する業務課題
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Elicit(エリシット)とは?
米国の Elicit Research PBC が提供する研究者向けのAIリサーチアシスタント。1億3,800万本以上の学術論文と54万5,000件の臨床試験を意味検索し、文単位の引用つきでレポート・データ抽出表・システマティックレビュー(スクリーニングと抽出)までを行う。英語での利用が前提。Basic 無料、Pro は年払いで月$49(アカデミック向けプランあり)。
解決する業務課題
「Elicit」のサービス詳細
Elicitとは
Elicit(エリシット)は、米国の Elicit Research PBC(パブリック・ベネフィット・コーポレーション)が提供する、研究者向けのAIリサーチアシスタントです。研究の問いを入力すると、学術論文を探し、内容を読み、データを表に抜き出し、根拠つきのレポートにまとめるところまでを支援します。
対象は、Semantic Scholar・PubMed・OpenAlex から集めた1億3,800万本以上の学術論文と、米国の ClinicalTrials.gov に登録された54万5,000件の臨床試験です。汎用のAIチャットとの違いとして公式が挙げるのは、AIが生成した主張のすべてに文単位の引用を付けること、そしてチャットにとどまらず表とステップを踏んだワークフローで作業できることです。公式サイトでは、500万人を超える研究者に使われているとしています(2026年10月時点)。
製薬・医療機器・アカデミア・政策・消費財・素材などの分野を対象にしており、特にシステマティックレビュー(あるテーマの研究を網羅的に集め、基準に沿って選別し、データを抽出してまとめる手法)の手順を自動化できる点に特徴があります。
日本語での利用について: 公式のヘルプでは「Elicit は英語での利用を前提に設計されている」と明記されています。検索・要約・データ抽出は英語の論文に最適化されており、収録論文も英語が中心です。日本語で質問しても関連する結果が返ることがあり、Research Agent では日本語で読んだり答えたりする場合もありますが、品質には大きなばらつきがあり、正確さは保証されません。英語以外で使うと利用枠の消費も早くなります。画面も英語です。
研究の問いを入れると、論文を探して読み、まとめるまでを任せられる
Elicit の入口は3つあります。もっとも柔軟な Research Agent、短時間でテーマの全体像をつかむ Research Report、そして手順を細かく管理する Systematic Review です。公式のヘルプは「ほとんどの調査は Research Agent から始まる」としています。

出典: Elicit 公式サイト(以下の画面画像も同様)
問いを入力すると、Elicit が「メカニズム」「用量」「発現時期」「比較」のように、問いを具体的にするための観点を提案します。曖昧な問いのまま検索するのではなく、何を知りたいのかを先に詰められるようになっています。
Research Agent は、Elicit の論文コーパスに加えて Web も参照し、1セッションにつき PDF・DOCX・XLSX・PPTX・JPG などの資料を最大20件まで読み込めます。論文探し、結果からのデータ抽出、1本の研究の精読、根拠の統合までを、ツールを切り替えずに1つのセッションで進め、レポート・要約・表・スライド・図などの形で出力します。2026年9月30日には、それまで別機能だった Find Papers(論文検索)・Extract Data(データ抽出)・Chat with Papers(論文とのチャット)が Research Agent に統合されました。
キーワードを知らなくても、関連する論文が見つかる
Elicit の検索は意味検索で、正しいキーワードをすべて知らなくても関連する論文が返ってくる、と公式は説明しています。一度に最大1,000本の関連論文を見つけ、最大2万件のデータ点を分析できます。
検索結果は関連度と被引用数で並び、論文ごとに著者・掲載誌・発行年・被引用数が表示されます。全文の PDF が見つかった論文には、その場所とダウンロードのリンクが付きます。
収録元には Springer Nature・Elsevier・Wiley などの大手出版社、Oxford・Cambridge などの大学出版局、IEEE・ACM などの学会、arXiv・bioRxiv・medRxiv・SSRN などのプレプリントサーバーが含まれます。コーパスは週1回更新されます。

システマティックレビューの「選別」と「抽出」を自動化する
Systematic Review のワークフローは、アップロードした論文と Elicit の検索結果から論文を集め、採否の基準に沿ってスクリーニングし、残った論文からデータを抽出して、最後に PRISMA 形式のレポートを作るまでを、段階を追って案内します。公式サイトによると、システマティックレビューに Elicit を使った研究者から最大80%の時間削減が報告されています。
論文を集める
Elicit の検索とアップロードした論文から候補を集める
スクリーニング
採否の基準に沿って、抄録または全文で選別。Pro は5,000本まで
データ抽出
残った論文から、指定した列のデータを表に抜き出す
レポート
PRISMA 形式のレポートを作成
公式は、スクリーニングとデータ抽出は自動化でき、検索とレポート作成は部分的に支援する、と位置づけています
Pro 以上のプランでは、Chrome・Edge 用の Elicit Browser Extension を使うと、所属機関のログイン状態を使って有料論文の全文 PDF を自動で取得し、抽出の段階に加えられます。ログイン情報は端末の外に出ず、Elicit には共有されないと説明されています。
見つけた論文を、次の調査に持ち越せる
Library には、Elicit で見つけた論文や資料を保存し、コレクションやタグで整理しておけます。Zotero からの取り込みや、PDF のアップロードにも対応しています。アップロードした PDF は暗号化され、自分のアカウントの中だけに保存されて、Elicit のコーパスには追加されません。
2026年9月には Library がチームで共有できる場に拡張され、研究者と AI エージェントが同じ根拠をもとに作業できるようになりました。

また、Routines(2026年9月30日に提供開始)を使うと、「新しく登録された腫瘍領域の臨床試験を追跡する」のように、Research Agent に定期的に続けてほしい調査を指示できます。Routines が新しい根拠を見つけて成果物を更新し、確認を求めて報告します(Pro 以上)。
機能
01探す
- 論文検索 — 1億3,800万本以上の論文を意味検索。関連度・被引用数で並べ替え、条件で絞り込み
- 臨床試験の検索 — ClinicalTrials.gov の臨床試験を対象に検索
- Research Agent — 論文コーパスと Web、アップロード資料(1セッション最大20件)をもとに調査を進める
02読む・抜き出す
- データ抽出 — 論文から指定した項目を表の列として抜き出す。追加できる列数はプランで異なる(Pro 20列、Scale 30列、Enterprise 40列)
- 図からの抽出 — 論文の図からデータを抜き出し解釈する(Scale・Enterprise)
- 文単位の引用 — 生成した主張に、元の論文の該当箇所を引用で示す
03まとめる
- Research Report — 問いに対する詳細なレポートを、使った論文への参照つきで作成。PDF・Word で書き出し
- Systematic Review — 収集・スクリーニング・抽出・PRISMA 形式のレポート(Pro 以上)
- 書き出し — RIS・CSV・BIB・PDF・DOCX 形式
04続ける・つなぐ
- Library — 論文の保存・整理、Zotero からの取り込み、チームでの共有
- Routines — 調査を定期的に更新し、新しい根拠を報告(Pro 以上)
- 共同作業 — Research Agent のセッションをチームでリアルタイムに編集(Scale・Enterprise)
- API・MCP — Elicit の機能を自社のエージェントやワークフローから呼び出す。Claude Desktop・Claude Code などの MCP 対応クライアントから使える(Pro 以上)
使い方
- アカウントを作る 公式サイトの「Try for free」から登録します。Basic プランは無料で、論文検索や Research Agent・Research Report を限られた量で試せます。
- 入口を選んで、研究の問いを入れる 幅広く調べたいときは Research Agent、テーマの全体像を手早くつかみたいときは Research Report、基準を決めて網羅的に調べるときは Systematic Review を選びます。問いは英語で入力するのが前提です。Elicit が提案する観点(メカニズム・用量・比較など)を足して、問いを具体的にします。
- 結果を確かめ、必要な項目を抜き出す 検索結果や Agent の出力を確認し、論文から抜き出したい項目を列として指定します。生成された内容は、引用元の該当箇所で確かめます。
- 書き出す・保存する レポートを PDF や Word で書き出し、論文は Library に保存します。追い続けたいテーマは Routines に登録します。
公式のヘルプは、Elicit の限界として、要約や抽出で論文のニュアンスを取りこぼしたり、数値が何を指すかを取り違えたりする場合があること、論文の信頼性(方法論の質や不正の有無)を評価する機能はまだなく、質の低い研究も良い研究と同じように要約してしまうことを挙げています。重要な判断に使うときは、元の論文で確かめることが前提です。
料金
2026年10月16日時点の公式の料金ページの価格です。米ドル建て・1ユーザーあたりで、年払いを選ぶと割安になります。料金ページには「Industry(企業など)」と「Academic(大学・研究機関など)」の2つの価格表があります。公式のベンダー情報では、VAT と売上税は請求しないとしています。
Industry の価格表
| プラン | 年払い(月あたり) | 月払い | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| Basic | 無料 | 無料 | Research Agent・Research Report を限られた量で利用、論文の検索・要約・全文とのチャット、Zotero からの取り込み |
| Pro | $49(年$588) | $75 | 標準の利用量、Systematic Review(5,000本までスクリーニング)、20列の抽出、Routines、アップロード論文からの抽出、API |
| Scale | $169(年$2,028) | $279 | Pro の5倍の利用量、図からの抽出、チームでのリアルタイム共同編集、30列の抽出、管理パネル |
| Enterprise | 個別見積もり | 個別見積もり | 40,000本のスクリーニングと40列の抽出、既定でデータを学習に使わない、SSO・SAML・2段階認証、シングルテナントなどの導入形態、専任のカスタマーサクセス |
Academic の価格表
| プラン | 年払い(月あたり) | 月払い | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| Basic | 無料 | 無料 | Industry の Basic と同じ |
| Plus | $11(年$132) | $19 | 標準の利用量、RIS・CSV・BIB・PDF・DOCX での書き出し、5列の抽出、臨床試験の検索 |
| Pro | $39(年$468) | $69 | Plus の5倍の利用量、Systematic Review(5,000本)、20列の抽出、Routines、API |
| Scale | $89(年$1,068) | $149 | Plus の9倍の利用量、図からの抽出、共同編集、30列の抽出、管理パネル |
| Enterprise | 個別見積もり | 個別見積もり | Industry の Enterprise と同じ |
- 月払いの金額は、料金ページで「Monthly」に切り替えたときの表示です。
- Academic の価格表は、料金ページのプルダウンで「Academic」を選ぶと表示されます。無償での提供はありません。非営利団体向けの割引は別途なく、Academic のプランを使うよう案内されています。
- 利用量は、Research Agent・Research Report・Systematic Review で共有する月単位の利用枠で数えます(2026年6月30日に、ワークフローごとの回数制から切り替わりました)。大きなファイルを読む長いセッションや、図からの抽出を有効にした作業ほど多く消費します。枠を使い切っても、次の期間まで Research Agent の論文検索は使えます。
- 大学・研究機関などは、機関契約の相談を受け付けています。
導入実績と評判
公式サイトでは、500万人を超える研究者に使われているとしています(2026年10月時点)。精度については、2026年7月に、生物医学の質問応答ベンチマーク BioASQ で他の5つの検索システムより多くの、専門家が頼りにする論文を取り出したとする評価を公開しています。
公式サイトに掲載されている事例は次のとおりです。
01データ抽出の正確さ:99.4%
VDI/VDE は、ドイツの教育政策に関するシステマティックレビューで Elicit のデータ抽出を使い、1,511件のデータ点のうち1,502件を正しく抽出しました(正確さ99.4%)。検討した根拠は11倍に増えたとしています。
02臨床開発:1,600本の論文から10倍の速さで抽出
Formation Bio は、変形性膝関節症を対象とする臨床開発で、末期の変形性膝関節症が臨床試験や先行研究でどう定義されてきたかを Elicit で調べました。1,600本の論文からのデータ抽出を、10倍の速さで行ったとしています。
03医薬コンサルティング:500本・40の問い
世界の製薬企業上位10社のうち8社を支援する Oxford PharmaGenesis は、Elicit で500本の論文をレビューし、40の研究課題に取り組んでいます。
メリット・デメリット
メリット
- 学術論文と臨床試験に絞った検索で、Web 全体を検索する AI よりも研究用途に合った結果を得やすい
- 生成した主張に文単位の引用が付き、元の論文で確かめやすい
- システマティックレビューのスクリーニングとデータ抽出を、段階を追って自動化できる
- 論文から抜き出したデータを表で比較できる
- アカデミック向けの割安な価格表がある
- API と MCP で、自分のエージェントやワークフローに組み込める
デメリット
- 英語での利用が前提で、日本語の質問や日本語の論文では品質が保証されない。画面も英語
- 料金は米ドル建てで、Industry の Pro は年払いでも月$49と、汎用のAIチャットより高い
- 利用量は作業の大きさで変わる月単位の枠で、どれだけ使えるかを事前に見積もりにくい
- 論文の信頼性(方法論の質など)を評価する機能はまだない
- 公式が重点を置くのは実証研究(社会科学や生物医学のランダム化比較試験など)で、分野によって向き不向きがある
Elicitと他のAIリサーチツールの違い
| 製品 | 調べる対象 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| Elicit | 学術論文1億3,800万本以上と臨床試験。システマティックレビューの手順に対応 | 論文の根拠を集めて表で比較したい、レビューのスクリーニングと抽出を効率化したい |
| NotebookLM | 自分がアップロードした資料 | 手元の論文や資料だけに基づいて要約・質問したい |
| Perplexity | Web 全体(出典つき) | 最新のニュースや Web 上の情報を、出典つきで手早く調べたい |
| Felo | Web 全体(出典つき)。日本語に対応 | 日本語で調べ、スライドやマインドマップまで作りたい |
| ChatPDF | アップロードした PDF などの文書 | 特定の論文1本を対話しながら読みたい |
学術論文を網羅的に探して根拠を比較したいなら Elicit、手元の資料を読み込みたいなら NotebookLM や ChatPDF、Web 上の最新情報を日本語で調べたいなら Felo や Perplexity が候補になります。
よくある質問
Q. Elicitは無料で使えますか。 はい。Basic プランは無料で、論文の検索・要約・全文とのチャットを使え、Research Agent と Research Report も限られた量で試せます。Systematic Review は Pro 以上で使えます。
Q. 日本語で使えますか。 公式には英語での利用が前提です。日本語で質問しても関連する結果が返ることや、Research Agent が日本語で答えることはありますが、品質にはばらつきがあり、正確さは保証されません。英語以外で使うと利用枠の消費も早くなります。
Q. 学生や大学の研究者向けの割引はありますか。 あります。料金ページで「Academic」を選ぶと、Plus(年払いで月$11)など割安な価格表が表示されます。無償提供や非営利団体向けの別の割引はありません。
Q. アップロードした論文は他の人に見られますか。 見られません。アップロードした PDF は暗号化され、削除するまで自分のアカウントの中だけに保存されます。Elicit の論文コーパスに追加されることもありません。
Q. Elicitの回答は信頼できますか。 回答には文単位の引用が付き、元の論文で確かめられるようになっています。ただし公式も、ニュアンスの取りこぼしや数値の取り違えが起こりうること、論文自体の質は評価できないことを限界として挙げています。重要な判断には、引用元の論文を確認してください。
本ページの情報は2026年10月時点で Elicit の公式サイト・ヘルプセンターに公開されている内容にもとづきます。機能・料金は変更されることがあるため、最新の情報は公式サイトと料金ページをご確認ください。
