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Legal Brain(リーガルブレイン)とは?
自然言語での質問に対し、法令・判例・専門書籍などからAIが関連情報を抽出・要約。独自のリーガルデータベース「LegalGraph」を活用し、法務リサーチの効率化と信頼性向上を支援する、弁護士ドットコム提供のリーガル特化型AIエージェント。
解決する業務課題
「Legal Brain」のサービス詳細
Legal Brainとは
Legal Brain(リーガルブレイン)は、弁護士ドットコム株式会社が開発した法務領域に特化したAI基盤技術の名称です。公式表記は LegalBrain(1語)で、これを実装した製品が「LegalBrain エージェント」にあたります。エージェントの提供開始は2025年5月23日、第一弾としてリーガルリサーチ機能が提供されました。
基盤技術である Legal Brain 1.0 は、公式の説明では「法令・判例・ガイドライン・専門書籍などのリーガルデータを包括的に学習し、日本語の法律文脈に特化した高度な言語理解を実現するAI基盤技術」とされています。汎用の大規模言語モデルを法務向けに調整したものではなく、日本の法律文脈のために作られている点が出発点です。

出典: 弁護士ドットコム株式会社 プレスリリース(以下の図版も同様)
「AIは間違える」という前提を、出典で崩しにいく
法務でAIが使われにくかった理由は、精度そのものより回答をどう検証するかにありました。条文番号や判例の引用がもっともらしく生成されてしまうと、確認のために結局ゼロから調べ直すことになります。
Legal Brain は、信頼できる情報源のみに基づいて回答を生成することで、汎用LLMで課題であったハルシネーションの発生を極限まで抑制すると説明されています。上の画面で各記述の末尾に脚注番号が振られ、右ペインに参考文献が書名・著者・発行日つきで並んでいるのは、この設計を反映したものです。「リサーチ範囲 148」という表示は、その回答が何件の文献を対象にしたものかを示しています。
汎用の生成AIで法務調査をする場合
- 学習データの範囲が分からない
- 条文・判例の引用が検証できない
- 結局ゼロから調べ直すことになる
- ハルシネーションを判別する手段がない
Legal Brain
- 収録データの範囲が公開されている
- 各記述に脚注と参考文献が付く
- リサーチ範囲の件数が表示される
- 信頼できる情報源のみから回答を生成
開発の背景として公式が挙げているのは、法務担当者の54.5%が「人手不足」、52.7%が「業務量の多さ」を課題としているという調査結果(2024年11月)です。リサーチは業務量の大きい割に、専門性が高く外注しにくい領域にあたります。
弁護士ドットコムに蓄積したデータが、グラフになっている
Legal Brain の中核にあるのが、独自データベース LegalGraph です。
法令とガイドラインの情報群に、判例データ・法律専門書籍・法律相談の記録・弁護士からの情報を加え、それぞれのデータ同士の関係性をグラフ化して構築されています。単に文書を集めた検索インデックスではなく、条文と判例、判例と解説といったつながりを保持している点が、通常の全文検索との違いです。
特徴的なのは法律相談の記録が140万件以上含まれていることです。これは弁護士ドットコムが長年運営してきた法律相談サービスの蓄積で、他社が短期間で用意できる種類のデータではありません。加えて、法務メディア「BUSINESS LAWYERS」の解説記事も格納されています。

質問から回答までに何が起きているか
公式が公開している構成図を見ると、この製品が「AIに質問を投げて答えを書かせる」タイプではないことが分かります。

流れは次のようになっています。
- 利用者が自然文で質問を入力する
- その内容がリーガルブレインに送られる
- Legal Graph と検索エンジンが近傍検索でやりとりし、関連文献を絞り込む
- 絞り込まれた文献がAIに送られる
- AIが箇条書きメモと、関連する複数文献の文章を返す
- エージェント側に表示される
文献データベース(書籍・法令・判例・ガイドライン)からは事前に情報が抽出され、検索エンジンに渡されています。つまりAIが自由に文章を作るのではなく、先に文献を特定してから、その文献に基づいて整理させる構造です。出典が付けられるのは、この順序だからです。
Legal Brain は1つの製品名ではない
もう一点、押さえておくべき点があります。Legal Brain は単体の製品ではなく、弁護士ドットコムの複数のサービスを支える基盤技術として位置づけられています。公式サイトでは、Legal Brain を軸としたサービス群として次が挙げられています。
01LegalBrain エージェント
本ページで扱っている製品。複雑なリーガル業務の効率化を目的とした統合型のAIエージェントで、第一弾としてリーガルリサーチ機能を提供しています。
02判例秘書
日本最大級の判例検索サービス。11の法律雑誌を収録し、AIによる検索アシスト機能を備えます。
03弁護士ドットコムLIBRARY / BUSINESS LAWYERS LIBRARY
法律書籍を対象としたリサーチサービス。前者は弁護士向け、後者は企業法務向けで、いずれもAIによる全文検索と要約に対応しています。
04チャット法律相談
法律相談データに基づく、24時間無料のAI法律相談チャット。一般ユーザー向けのサービスです。
なお Legal Brain を搭載した統合型AIリーガルリサーチツールは2024年8月30日に提供が始まっており、「法的論点の抽出・整理」と「情報の収集」の2機能を備えていました。2025年のエージェントは、その延長線上にある製品です。
使い方
-
利用申し込みを行う
公式サイトから問い合わせ・申し込みを行います。対象は弁護士・法律事務所・企業法務部門で、法人単位での契約が前提です。
-
調べたい内容を自然文で入力する
論点を文章のまま入力します。キーワードを組み立て直したり、検索演算子を覚えたりする必要はありません。前掲の画面例では「製造物責任に基づく損害賠償責任を、契約によって直接排除できますか?」という文がそのまま入力されています。
-
整理された論点を確認する
AIが法的論点を抽出し、箇条書きで構造化して提示します。上の例では「消費者に対する責任制限の可否」「事業者間での責任制限の許容範囲」の2つに分解されています。
-
参考文献から一次情報にあたる
各記述には脚注が振られ、右ペインに参考文献が書名・著者・出版社・発行日つきで並びます。ここで一次情報を確認するところまでが1つの作業単位になります。
-
調査結果を共有する
調査結果を保存し、チーム内で共有できます。案件ごとのナレッジとして蓄積されます。
機能
01調べる
自然文の質問から、関連する法務情報を横断的に抽出します。
- 自然言語リサーチ — 文章のまま質問すると、AIが調査意図を汲んで関連情報を抽出
- LegalGraph 横断検索 — 法令・判例・専門書籍・ガイドライン・法律相談の記録・解説記事を、関係性をたどりながら検索
- 法的論点の抽出・整理 — 質問に含まれる複数の論点を分解し、箇条書きで構造化
02確かめる
提示された内容を検証できる状態にすることを重視した設計です。
- 出典・根拠の明示 — 各記述に脚注が振られ、参考文献が書名・著者・発行日つきで表示される
- リサーチ範囲の表示 — その回答が何件の文献を対象にしたものかを提示
- ハルシネーションの抑制 — 信頼できる情報源のみに基づいて回答を生成する設計
03共有する
個人の調査で終わらせず、組織のナレッジとして残します。
- 調査結果の保存・共有 — チーム内でリサーチ結果を共有
- 複数ユーザーでの利用 — 法律事務所・法務部単位での利用を想定
料金
料金は公開されておらず、個別見積もりです。公式サイトに金額の掲載はなく、問い合わせを通じて提示されます。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 料金体系 | 非公開(個別見積もり) |
| 契約単位 | 法人(法律事務所・企業法務部門) |
| 対象ユーザー | 弁護士、法律事務所、企業法務部門 |
| 提供開始 | 2025年5月23日(LegalBrain エージェント) |
| 申し込み | 公式サイトからの問い合わせ |
2026年8月時点で、公式サイトに金額・無料トライアルの有無に関する記載はありません。導入を検討する場合は公式に直接ご確認ください。
導入実績と評判

公表されている導入先には、アンダーソン・毛利・友常法律事務所、みずほ銀行、みずほ証券が挙げられています。国内トップクラスの法律事務所とメガバンク系の法務部門という組み合わせで、誤答リスクに厳しい領域から採用が始まっているのが分かります。
2025年11月11日の発表によると、アンダーソン・毛利・友常法律事務所ではトライアルで有用性を実証したうえで、全弁護士・パラリーガルが本格利用を開始しました。トライアルで特に評価されたのは「法務実務に不可欠な回答精度の高さと信頼性」で、信頼性の高い情報源のみに基づいて回答を生成することでハルシネーションを抑制している点、および出典が明確で情報検証が容易である点が挙げられています。
同事務所の清水亘パートナー弁護士は「生成AIは間違えるし、リサーチツールとしては使えない、という思い込みは過去のものになりました」とコメントしています。
今後の展開としては、マルチエージェント連携の実証実験を並行して実施し、みらい翻訳社のAIプラットフォームを介したシームレスな利用環境への移行が予定されています。
他のリーガルテックとの違い
リーガルテックは「何を効率化するか」で用途が分かれます。Legal Brain はリサーチ、つまり調べる工程に軸足があり、契約書のレビューを主とする製品とは守備範囲が異なります。
| 観点 | Legal Brain | 契約書レビューAI | 判例・文献データベース |
|---|---|---|---|
| 主な用途 | リーガルリサーチ(調べる) | 契約書の条項チェック(確認する) | 判例・文献の検索(探す) |
| 入力の仕方 | 自然文の質問 | 契約書ファイル | キーワード・条件指定 |
| 出力 | 論点の箇条書き+参考文献 | リスク指摘・修正案 | 該当文献の一覧 |
| 出典の扱い | 各記述に脚注と参考文献 | 該当条項を指摘 | 文献そのもの |
| データの範囲 | 法令・判例・書籍・ガイドライン・法律相談・解説記事 | 契約類型ごとの雛形・条項 | 判例・文献 |
| 料金 | 非公開(個別見積もり) | 製品により幅がある | 製品により幅がある |
同じリサーチ領域では Legalscape が法律文献データベースを軸にしたサービスを提供しており、収録文献の範囲と検索体験が比較の中心になります。契約書レビューでは LegalForce、OLGA、LeCHECK が該当し、これらは「調べる」Legal Brain と用途が重ならないため、併用されることが多い組み合わせです。
本ページの情報は2026年8月時点で公式サイトおよび弁護士ドットコム株式会社のプレスリリースに公開されている内容にもとづきます。最新の仕様・料金は公式サイトをご確認ください。


